13.いよいよ手術☆いよいよ手術☆逃げに逃げた手術がいよいよ今日の13:00から行われる。 O病院の窓から見える天気は曇り。 手術後は看護婦の出入りが激しくなり他の人に迷惑掛けちゃうので、個室に引っ越した。 約束の時間からだいぶ遅れて、母と姉が到着。 「遅いから事故かと思ったよ」私が言うと 「車ぶつけられた・・・」姉が言う。 私の地元は雪だった。 「そりゃ、大変だ・・・」 続いて、おばあちゃんがそろそろ危ないと聞いていたので気になって聞いた。 「おばあちゃんは?どう?」 「・・・今朝、死んだ」 「・・・。」 よりによって今朝かよっ!おいおい、今日はみんなどうしたんだい? 事故に死亡に手術かよっ! 病室で軽く麻酔を打たれ、すぐに意識が朦朧としてくる。 ストレッチャーに移り手術室へ向かう。 「頑張ってね」母に言われたが、頑張りようがない。 ひんやりした手術室。前室のようなとこで全裸にされる。 その後奥に移される。手術室って緑色って聞くけど、そうでもないんだな~なんて思った。 「今日は麻酔科で一番えらい先生が注射してくれるから、安心してね」 腕の差がそんなにあるのかと考えちゃったが、とりあえずラッキーだ。 全身麻酔なので腰に二本、腕にも打たれた。 すると奥からT先生が来た。私の腕をさすり、名前の確認。 「今から手術するからね」 「・・・先生、・・・きれいに縫ってね・・・」 失いそうな意識の中で最後、懇願した。 先生も私のしつこさにあきれたと思う。 「今から20数えてください」 「1、2、3、4、5、6、7・・・」 どこまで数えられたのか、記憶が無い。 カチャ、カチャッ。 金属的な音で目が覚める。 「あ、目が覚めちゃった?先生、今、最後縫ってるところですからね、もうすぐ終わりますよ」 話す事は出来ないが、聞くことは出来る。 『人間、死ぬ間際まで耳は聞こえる』というのを聞いたことがある。 今思えば疑似体験だったかもしれない。 そしてまた意識がなくなる。 「いやぁ~、ナニこれぇ?気持ちワル~い!」 今度はうるさくて目が覚めた。 手術室の遠くで、先生が私の身体から取り出した塊を母と姉に説明していた。 どんな時でも失敬な姉だ。 気付いたらもう病室に戻っていた。 私の名前を連呼する母。麻酔がガンガン効いていて返事など出来る訳がない。 「さっきまで手術してたんだから、返事なんか無理だよ」 私の横でお菓子を食べ続ける姉に止められ、連呼は止んだ。 「今日は何もすることないから、もう帰ろう!」「そうねぇ」 「じゃ、また来るよ」 そう言うと、二人はアッサリ帰ってしまった。 でもうるさかったからホッとする。 彼だけは残ってくれた。 陽が暮れ、暗くなる病室。 「じゃ、もう帰るよ」 「やだ」 少し話せるようになっていた。 「丸井に行って、足りない入院用品買わないとさ・・・」 「丸井は今日休み」 ナンダカンダと言って彼に面会時間ギリギリまで残ってもらった。 ***** 14.手術後 へ続く ***** |